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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第16話
日立港ブルース
1988年7月16日放映


 魚光の一室で今、対アロハマン緊急対策会議が開かれていた。三悪は、あるひとつの重大な事実に気が付いていた。彼らはバイクでたちまちにして現われる。だが、一人だけそうでない者がいる。レッドだ。彼だけなぜか自転車(しかもママチャリ)である。当然来るのも遅い。そこに光を見いだした三悪は、はるばる日立港くんだりまで赴いた。本当はもっと遠くへ行きたかった(そのままどこかでひっそり暮らしたかった)のだが、電車賃の都合がつかなかったのだ。

 その頃、長官から命令を受けた二人は、遅れる原に見向きもせずに、さっさと日立に向かった。ガス代が気にならないといえばウソになったが、ちょっとしたツーリング気分だった(注:水戸からバイクで約一時間の道程である)。
 港につくと三悪は貨物船を襲っていた。日立の家電製品を盗み、我がものにせんとしていたのだ。
「ああっ、夢にまで見た扇風機♥欲しかったんだあ…」
「バカ、クーラーにしろ、クーラーに!」
「おおっ!電子レンジだ!」
「ああ…とうとうウチにも冷蔵庫が…(うっとり)」
 クーラーや電子レンジの費やす電気代や冷蔵庫に貯える食料など存在しないことも、今はどうでも良かった。
「そこまでだ、マグワイヤー!」 「抜け駆けは許さん!」
「フ…フフ…、かかったな、アロハマン!」
 後ろ髪引かれつつ戦闘に入る三悪。「そっ、その怪人は…!?
 なんと彼らは以前10話で敗れた怪人をリサイクルしていた。しかも改造人間を改造したのだから、これが強い!
「名付けて『地球とマグワイヤーに優しい怪人』だっ!」
 苦戦を強いられる二人。しかし彼らの心にはまだ余裕があった。
 彼らが三悪の狙いに気が付いたのは、そろそろカタをつけようとカノンを呼び出した時である(つまり、それまで原の存在なんてまるで気に止めていなかったのだ)。
 ここは日立だ!ママチャリで来る原が辿り着けよう筈がない!!
「しまったああ!これが目的だったのか!」
勝利を確信する三悪。とうとう二人を倒し、沈み行く貨物船のマストに縛り付けた!
「助けてくれええ!」 「頼む、原の秘密ならなんでもバラすから!」
 もはや恥も外聞もないブルー。ブラックはと言えば、締め付ける縄の感触へと現実逃避している。もはや絶体絶命、ソーヤの高笑いが夕日にこだまする中、あの音が!!
「こっ、この音は……まさか!」
「き…来たのか…来てくれたのか!」
 夕日をバックにそびえる人影は、まさしく原、その人であった。
「日本全国北から南!顔にかけずに股にかけ!決めるポーズは破滅の兆し!ある時はリーダー、ある時は弾、しかしてその実体は、原!見参!!
 愛車轟天号ひとつで地の果てまで行こうと言う彼に、日立などはほんの序の口だった。
「くそう…奴を見くびっていた!」
「俺は信じてたぜ、原ー!おまえの秘密なんてしゃべってないぞ!!
かくして地球に優しい怪人はハラコフカノンの前にあえなく土に還った。やはり原は大切にしよう、と(今だけは)思う二人。         
*               *
 神も仏も失ったマグワイヤーがトボトボと魚光に戻ってくる。階段を上がりかけてふと、置いてある自転車に目をやる。よくよく見るとそれはアロハレッドの駆るそれに酷似していた。とてもムシャクシャしていたソーヤは、腹いせの余りその自転車を破壊し始めた!ここぞとばかりにハッシーとモリッターも加わる。満天の星空に轟天号の砕ける音とソーヤの狂ったような笑い声がこだました……。


 
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