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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第18話
復活の轟天号
1988年7月30日放映


 もはや、原は……ダメだった。
 連続ママチャリ破壊事件の現行犯で留置場入りした原を保釈する金なぞ、どこにもない。原よ、このまま牢屋で朽ち果てるのか?(既に腐れ切っているという話もあるが)
 だがブルーとブラックはハッピーだった。ブルーのメットに原の顔を描いて飛ばせば取りあえずの所は戦えるとわかった以上、原が居なければ食費は浮くわ、バイト料の取り分は増えるわでウハウハなのだ。何より原のダジャレを聞かされずに済む!!かくして二人はこの世の春を謳歌していた。が…彼らの幸福はそうそう長くは続かなかった。ブルーがギャグを言いだしたのだ!自らのギャグで自分にダメージを与えつつ、尚もギャグの手を緩めない。これは、この姿は……!
「お前、この間のカノンのせいで『原』に侵され始めているのかっ!?
「うーん、ハラハラするねえ…ゴフッ!(吐血)」
「もっ…、もうだめだーっ!!
 ブラックは走った。もうこうなったらより強力な『原』(つまり本人)をぶつけてブルーの『原』を吹き飛ばす以外にブルーを救う手段はない。なんとか金を掻き集め、原を保釈してもらおうとブラックは警察に駆け込んだ。だが、既に留置場から原の姿は消えていた。ギャグに耐えきれなくて崩れた壁から脱獄したらしい。なす術もなく立ち尽くすブラック。
 しかも、必死のマグワイヤーは一大再生怪人軍団を組織し、遂に決戦を仕掛けてきたのだ!今回、彼らには勝算がある。前回の戦いにレッドが参加していないのを見て取った彼らは、日立まで自転車で来たレッドが筋肉痛で動けなくなったのだろうと判断し、レッドが回復しないうちにアロハマンに壊滅的な打撃を与えてやろうと企んだのだ!
 倒れた酔っ払いの背広の中から出現してきた長官(ほとんど五次元人だよな…)に、ブラックは原の居場所を尋ねる。原はどうやら夢の島にまで辿りつき、狂ったようにママチャリの残骸を漁り続けているらしい。
「………」ブラックは、全てを諦めた。
「今回ばかりは、ダメかもしれない」
 決死の覚悟で出動をするブルーとブラック。選択の余地なしに再びブルーをカノンに装填する(ブラックのメットは黒くて、黒マジックでは原の似顔絵を描けないのである)。だが、カノンで増幅された『原』がブルーの全身を駆け巡る!!
「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!!!!!!
 この世のもとのも思えぬ悲鳴を上げ、細胞崩壊を起こして廃人と化し、倒れるブルー。やむをえず自らのお下劣パワーのみで戦おうとカノンの中に入ったブラックだったが、増幅された煩悩でナニがつかえて発射不可能。無理矢理点火をしてみたら、そのまま折れて(戦闘)不能になってしまった!
「もう、だめだ…」
「勝った…勝った、勝ったのよーっ!!
 高笑いするソーヤ。よっぽど嬉しかったのか、涙を流してゴロゴロ辺りを転がり回る。しかし、その時!!
 ずどん、とブルーの身体が跳ねた。みるみるうちに辺りの空間が歪んで、消える。無敵を誇った再生怪人軍団が巻き込まれ、あっという間に塵と化す。
「こっ…、これは!?
 ソーヤの問いに、ブラックがもっとも恐ろしい答えを返した。
「『原』だ…!!ブルーに納まりきれない『原』が周りの空間に漏れ始めたんだ!」
 それでは、周りの歪んだ空間は、もしかしてギャグなのか!?泣きだすソーヤ。
「貴様もアロハマンだろ、なんとかしろーっ!!」 「無茶言うなーっ!!
 しかしその間にも『原』は辺りに広がって行く!!
「だ、だめだ……!手が着けられんっ!!
「原ーっ、帰って来てくれーっ!リーダーァァァァァ!!
 すると、向うの方からなんだか聞き慣れたペダルの音が!!振り向くと、無数の豆電球による電飾でぴかぴか光り、ホーンを鳴らすデコチャリと化した轟天号が!
「は…原!だが、その自転車は!?
「俺には聞こえた…轟天号が俺を呼ぶ声が……!!
 それでは原は、轟天号の残骸から聞こえてくる声を頼りにあの広大な夢の島のゴミ平原の中から轟天号のパーツを選り分け、再生したのか!原は狂っていたのではない!原と轟天号の、生物・無生物を超越した強い絆が不可能を可能としたのだ!
 これは、「愛」…もはや愛と呼ばずして、一体何と呼ぶべきか。ブラックには、センスのカケラもない轟天号の装飾のネオンさえもが眩しく、溢れる涙でにじんで見えた。
 すかさずハラコフカノン、発射ァァ(しかも今回は轟天号込み)っ!!原本体の余りに強力な存在意義消滅力と、存在意義そのものである轟天号とをぶつけられ、辛うじてブルーは救われた。副作用として全ての記憶を失ってたが、幸い、いつもと全く変わらない。
 かくして、なんとかアロハマンはもとに戻った。


 
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