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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第24話
赤いランドセルを狙え
1988年9月10日放映


 今日はブラックがなぜかそわそわしている。聞くと彼の又従姉妹( またいとこ )である女の子が遊びに来るというのだ。
「又従姉妹とは、またいーとこに目を付けたね」 という原のギャグも聞こえていない。ブラックの又従姉妹となるとどんな子だろう?と想像しようとした二人だが、発想力が貧困なのか、なぜか一つの顔(唇)しか思いつかない。駅に三人で迎えにいく。

 その頃ハッシーは水戸駅構内をうろつき、落ちている切符を拾って、なんとか金に替えられないかと目を皿の様にしていた。後ろから呼び掛けられたので振り向いたとたん、彼のハートはときめいた!
「おじちゃん、なにか落とし物?」
 十歳くらいの、彼のロリ心の琴線を掻き乱さんばかりの愛らしい女の子が、しかも向こうから声を!しかし彼女の名前を聞いたとたん、恍惚は絶望へ変わった。
「ミヨっていうの」
 それは彼が幼稚園の時にこっぴどく振られた女の子の名ではないか!見れば顔立ちもよく似ている…。彼の中で十七年間くすぶり続けてきたトラウマが頭をもたげた。失神しそうになるのをぐっと(こら)える。
 いや、これはチャンスだ!この女の子とコミュニケーションを取ることによって、忌まわしい過去の呪縛を今こそ()(ほぐ)すのだ!しかし彼が次に聞いたのは悪魔の言葉であった。
「おじちゃん、くちゃーい」
 瞬間、彼の中の臆病だが清らかな少年の心が音をたてて死んだ。あとに残ったのは狡賢く残忍でちょっぴり淫乱なDr.ハッシーその人だった。
「…改造してやるっ……!!

 とぼとぼと歩く三人。迎えにいったはいいが居なかった。又叔母の所に連絡するため、帰りがてら十円玉を探していた。
「ところでブラック、結構そわそわしてたよな」
「ああ、彼女ミヨちゃんって言うんだけどさ、俺、彼女が可愛くてしょうがないんだよね。小さい頃よく遊んであげてたんだ」
「ブラックのことだから手ぇ出そうとしてんじゃないの?」
「バカいえ。それにまだ小五だぞ。俺は大人の女性にしか興味はない」
 股間をピクリともさせずに言い放つブラック。どうやらウソではない様だ。
 と、向こうで何やら騒がしい。
 見ると、ハッシーと女王様型怪人が保育園を襲っているではないか。変身して踏み込む三人。よく見るとその女王様は実にダイナマイツな肉体をしている。ブラックはときめきを押さえ切れず前傾姿勢を取った。
「小学生を女子高生に改造し、女王様に仕立てるという究極の性対象、『女王様女子高生児童ミヨちゃん』だっ!!
狂科学者としての彼は、かくしてトラウマをねじ伏せたのだ。
「なにっ!?小学生…ミヨちゃん!?
「あ、あれが?」
「想像していた唇 (どうやら「顔」と言いたかったらしい) と違うじゃねーか」
「改造されたからかも…」
「だがそうすると、ブラックは又従姉妹に欲情した事になるな」
「バカをいえ。俺のミヨちゃんに対する愛情は純粋なものだ!」
 股間の怒張も顧みず虚言を奏でるブラック。ウソもここまで分かりやすいといっそすがすがしい。
「ゆけっ、ミヨちゃん!奴らを倒すのだ!」
 つい女王様に命令をしてしまったハッシー。お仕置きにヒールで踏まれ彼の哀しき魂は昇天する。襲いかかってくる女王様。神器を出して応じる三人。だがまともに戦っては彼女を傷つけてしまう。
「剣や銃は危険だ!ここは俺のムチで勝負する!」
 ムチ対ムチ(しかも女王様はムチムチだ!)の壮絶な戦い。しかしブラックの長年使い込んだ絶妙のスティックさばきが勝り、彼女の動きを封じた。だが、又従姉妹の瑞々(みずみず)しい柔肌を自分のモノが締め付けていると思うと(たま)らなかった。思わず気を吐き、萎えてしまったムチから逃れる女王様。慌ててムチを股間に装填し、回復を図るが為す術なくムチに巻かれてしまう。だが妖艶な又従姉妹のムチに締め付けられていると思うと堪らなかった。再びエレクトするブラック。それを見た女王様の瞳に純真な輝きがよぎった。
「お兄ちゃん…?」
 瞬間、ブラックは思い出した。かつて五歳の彼女と遊んであげた日々。彼は二つの技でもって彼女をあやしていた。『(やぶ)から棒』と『(やぶ)隠れ』…甲賀淫者に伝わる淫法(いんぽう)だ。おもむろに彼は二秒に一回のサイクルを生み出した。股間の薮から、現われては引っ込むタートルヘッドの波長は、彼女の記憶と完全に同調した。
「お兄ちゃん…やっぱり、薮隠れのお兄ちゃんだ……!」
 安心したように気を失う。
「ミヨちゃん…!」 見る見る元の姿に戻って行く。気付くと、ハッシーの姿は消えていた(保育園からは女子の体操着が盗まれていた)。
「なんだ、元の姿も可愛いじゃない」
「ブラック、良かったな(いろんな意味で)」
「ああ…」
 ミヨちゃんを優しく抱き抱えるブラック。だが、この子も成長すればああなるのかと思うと、堪らなかった。


 
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