TOP > 閲覧順路 > 第1部目次 > 各話 |
◆ | ◆ | |
第29話 十五夜に泣け!兎とソーヤが餅をつく 1988年10月15日放映
ハッシーが明日の十五夜用に団子のパックを買ってきた。十五夜といえば、ソーヤには思い出がある。八歳の頃、団子を落として泣いていた時、自分の団子を差し出し、何も言わずに駆け去っていった男の子…。
「確か、ゲンちゃんっていったっけ…」 なんとそのゲンちゃんから、手紙が届いた。上京してきたついでに、一度会いたいという。緊張しつつ駅で待ち合わせをするソーヤ。強化スーツの出で立ちに、回りの人々の視線が痛い。 (きっとゲンちゃんも、私の変貌ぶりに驚くわよね…) ソーヤはちょっと、ブルーであった。 そこへゲンちゃんが来た。ソーヤに向けて手を振っている。 「いやー、一発で見分けついたよ」 (え?) 「ホント、全然変わってないな」 (何?なんでよ?こんな格好してるのに!?) しかしゲンの飾らぬ態度に、初恋の淡い気持ちが蘇ってきた。 (いけない!こんな……いけないわ!私は恋は捨てた身なのよ!) 確かに、捨てる以外にはないだろう。こうして今こうやって歩く間にも、ソーヤは後ろ指を差されっぱなしだ。 「…きみ、この辺りじゃあ有名なのか?」 「え?ええ……」 思わず目を伏せ、頬を朱に染めるソーヤの前に、コンビニ襲撃に成功して逃げだしてきたハッシーとモリッターがやってきた!先程の餅を改造した団子怪人も一緒だ。 「誰だい?この人たちは」 「………」 ソーヤは、人気のない空き地へとゲンちゃんを連れ込んだ。 「ゲンちゃん、実は…」 「見付けたぞ!マグワイヤー!!」 やっと登場、アロハマン!!戸惑うゲンちゃん。 「あの人達はなんだい?マグワイヤーって…説明をしてくれないか?」 「そ、それは、つまり…戦いが先よ!」 戦い、負けるマグワイヤー。その一部始終を見て、立ち尽くすゲン。 「…これで分かったでしょう?あたしたちは悪の軍団…誰もが恐れるマグワイヤーなの!」 「…分からない……なんで、あの優しかった君が…」 「時は人を変えるのよ。…これは、自分で決めた事だから」 ソーヤ、パッと身を翻す。 「あっ、のりちゃ……!」 キッと振り向くソーヤ、 「私はソーヤ、マグワイヤーの総統だ!」 そして、夕日に向かって今度こそ去る。ゲンは声もなく見送っていた。 「総統…泣いてるんですか?」 無神経に尋ねるハッシーを、ソーヤは何も言わずに殴りとばした。思い出はもう、還らない。 「……団子、作るか」 「は?」 「帰ったら、団子の餅をつこう」 あああ、今宵はひときわ悲しきソーヤ。月の兎も泣いている…… |
||
◆ | ◆ |
TOP > 閲覧順路 > 第1部目次 > 各話 |