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第32話 ハラコフカノンなんかいらないよ 1988年11月5日放映
とうとうリーダーの権限を失ってしまった原。こうなるともう単なる弾でしかなかったが、実質的には何も変わった訳ではないので原は平気だった。そもそもが大砲で飛ばされる主人公なんて、後にも先にもコセイドンと引田天功くらいのものだ。多くは望まない。ギャグのある生活こそが大事なのだ。
…という訳で、彼は相変わらずギャグを垂れ流し、しかも磨きをかけていた。なす術もなく洗礼され続けた二人は、次第に原の存在意義消滅力に対する免疫を付け始めたが、苦痛であることに変わりはなかった。二人はもう殆ど原を無視していたが、原はそんな事は気にもせず、勝手に会話のはしばしを捕まえては、哀しい迄にギャグを飛ばしていた。こんな生活がよもや永遠に続くのではないかと思われた頃、久々の出動がかかった。この所貧乏も究極まで来ていたマグワイヤーは、最後の切札、ゴキブリ怪人を出してきた。 「ゴキブリとはまた、ゴーキだねえ」 早速流れる原のギャグをゴング代わりに、戦闘が始まった。だが、流石にゴキブリ、速い!速い!生理的嫌悪感も手伝って、なかなか捕まえられない。ハッシーは安上がりで強力な昆虫怪人の将来に明るい展望を見ていた。だがゴキブリ怪人とともに疾走する赤い影ひとつ。原は怪人をぴったりとマークして一方的に楽しいトークを繰り広げていた。次第にぐったりしてくる怪人。 「見たか!原のギャグの毒気は殺虫剤以上だ!!」 あんな状態の原でもたまには役に立つな、とちょっぴり見直し始めた二人は、逃げ足の鈍った怪人に対してカノンの使用を決行した! …ところが、だ。一秒たりともギャグの手を休めようとしない原は、カノンに詰め込まれたとたんに内圧が高まり、暴発したではないか!ブルーとブラックは大怪我を負って倒れてしまう。三悪も流石に哀れに思ったか、何も言わずゴキブリの背に乗って町へ飛び去った。 二人に声(ギャグ?)をかけようとする原。だがブラックが呟いた。 「飼い犬に手を噛まれるとは、この事だ…!」 あまりの言葉に、妙に納得してしまった自分が哀しい原。と、ブルーが 「もう沢山だ……もう、たくさんだーっ!!」 と叫ぶとおもむろにカノンをつかんで走りだし、 「こんなものーっ!」 と、そのままカノンを那珂川へ放りこんだ。 絶叫する原!後を追って自分も飛び込んだ!カノンと共に沈んでいく原。薄れゆく意識の中で思い出が駆けめぐる。カノンは友達、カノンは恋人、そしてわが分身…いうなれば 『彼女はデリケート』 ならぬ 『カノンはレゾンデートル』 だ。似てないか。どうでもいいや、もう……。 帰ろうとしていた二人の背後で、あまり神々しくない女神タイプの長官が川の中から出現した。 「お前たちが落としたのは、この金の原か、銀の原か…?」 だが二人は何も言わずバイクで去っていた(しかも最後まで聞いてなかった)。もはや涙も出ない原。さしもの長官も、贈る言葉がなかった。 |
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