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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第56話
いま明かされるマグワイヤー誕生悲話
1989年4月15日放映


 基本中の基本にして最大の奥義、もはや戦隊のご神体とも言うべきカノンを永遠に失ってしまったアロハ三人。しかもまだローンがたっぷり残っているのだ!カノンは最初の時点で三人が長官から月賦で買った拡張機器(2500円×83回払い)なのである。がっくりうなだれる三人。
「おい…この先どうやって返済すりゃいいんだよ」
「何せ勝たなきゃバイト代もらえないからなあ…神器でいくしかないだろ」
 切札が無いというのは心細いものだ。しかし原だけは内心複雑な気持ちであった。もう飛ばされなくてすむ喜びと、もう飛べないのだという深い悲しみがせめぎ合っていた。飛べない原はただの原だ。

 その頃、隣の部屋ではソーヤとモリッターが部屋中をひっかき回していた。カノンの消失で勝機を得たものの、花見怪人だけではやはり心許ない。ここは一発、数体の怪人でもって一気に叩こうと設計図を掻き集めていたのだ。ところがなんとその中に、ソーヤとモリッターの設計図らしきものが混じっていたではないか!モリッターもそれを見て無表情のまま驚愕する。
「こ、これは一体…!?
 マグワイヤーを結成したのは、確かにこの私の筈なのだ。だが…もしこの設計図が示す通り、私自身がハッシーによって作り出された怪人なのだとしたら私は…!?いや、そんな筈はない!だがもしも………。
 そこへ帰ってくるハッシー。だが二人の様子が変だ。妙によそよそしい態度、怯えと戸惑いの入り混じった目付き…。座布団やおしぼりがさっと出て、お茶に指圧とサービスも満点!三歩下がって影を踏まずと言った具合だ。
 なるほど…事ここに至ってようやく自分の才能が認められたのか?アロハマン打倒の絶好のチャンスであるこの時期、俺の機嫌を損ねるわけにはいかないからなぁ…。
 状況をすんなり受け入れたハッシーは遠慮というものを知らなかった。

「レンタルっていうのはどうかな」
沈黙を破ってブルーが切りだした。
「ローンがきいたんだ。それぐらいの制度はあるんじゃないの?」
「…83回払いより安いレンタルなんてあるのか?」
「ないかな…」
「大体あんなことで壊れるなんてフツー思わないよな。説明書にだって書いてなかったろ。そうだ、訴訟を起こして賠償金せしめよう」
「長官相手にか?」
「それがさ…取説見たら書いてあるんだよね…『真上に撃つな』って」
「なんてこった…」万事休すだ。
「こうなりゃもう張り子のカノンを作ってハッタリで脅すしかないな」
「なんか哀しすぎないか、それって」
 万策尽き果てたその時、待っていたかのように長官が現われた。
「諸君等にこれを授けよう!」
「こっ、これは…!?

 飲み屋が襲われているという情報が入り、早速出動するアロハマン。見ると、量産された5体の花見怪人がたむろしていた。
「手ェ抜きやがって…」
 しかし店の奥を見て驚く二人。なんとハッシーが他の二人の担ぐミコシにデンと座っているのだ!
「一体何があったというんだ!?
「はっはっは。今や私が総統なのだ!ゆけ、花見X!( ファイブ )
 神器で立ち向かうブルーとブラック。どうにか四体は倒すも、残り一体がどうにも捕まらない。
「くそう、なぜこいつだけこんなに強いんだ…?」
「教えてやろう。花見怪人は酔えば酔うほど強くなる…ところでそいつは一人で150本呑んだ。答えは?」
「つっ…強すぎる!!
 もはやなす術もなくボロボロにされる2人。
「や…やはりあれしかないか!」
「ん?そういえばアロハレッドがいないな…。ふっ、カノンが無くてはそれも無理は…」
 と、向こうから自転車の音が!
「遅いぞ、原ー!」
「無茶いうなよ!」
 なんと後に引っ張っているのは…
「ば、馬鹿な!カノンは壊れた筈…!」
「甘く見たな!これが俺達の新兵器、使い捨てカノン『撃てるんです』だッ!!
 強度がなく一回しか使えないが、破格のなんと500円!電送代をケチって運べば出費はこれまでと同じという寸法だ!
「バカめ!花見怪人によけられないとでも…」
 …とその時、ブラックが何を思ったか突如脱衣し、あられもない姿を披露した!一気に酔いが醒める花見怪人。酔うほどに強くなる彼は、酔いが醒めればただの人だ。
「今だ!」
 ブラックの体をはった機転によって見事命中!怪人を撃退した。すごすごと逃げ帰る三悪。しかも例の設計図は、ハッシーが以前に二人の等身大ワラ人形(丑の刻参り仕様)を作ろうとして描いたものだと判明!半日天下も虚しく向こう半世紀間の便所掃除を言い渡されるハッシーだった。


 
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