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第58話 モリッター狂気!こりゃやってられまへんなあ! 1989年4月29日放映
近ごろモリッターがおかしい。前からおかしいともっぱらの評判ではあるが、この所さらに磨きがかかっているのだ。時折何か思い出したかのように、クスクスクスクス(×50)と声にならない笑いをもらすのだ。その無表情な笑い顔にはどこか鬼気迫るものさえあった。単に寡黙なだけならまだいいが、そんな事までされては同居人として精神衛生上すこぶるよろしくない。
ところでマグワイヤーの財政は、この間の敗北によって決定的に逼迫していた。ここ二日は何も食べていない。貧乏も究極までくると、何も感じなくなってくるものだ。モリッターの狂気もその状況がゆえなのだろう。彼らは既に面の皮一枚の状態で辛うじて生きているにすぎない。面の皮が厚いおかげでなんとか持ちこたえているのだ。 その頃アロハ三人は、長官から新しく買い込んだ使い捨てカノンを眺めてニヤニヤしていた。使い捨てカノンには未来がある。バリエーションがある分、元のカノンより数段便利だ。しかも軽量、電送に頼る必要もないし(何しろ前のカノンは原の存在意義の無さに耐えるため、肉厚800_の鋼鉄製で1.5dもあったのだ)、捨てていけるので帰りも楽だ。なぜ初めからこれにしなかったのか。しかも今回購入したのは『撃てるんですフラッシュ』といって、発射と同時にフラッシュを焚いて目眩ましにするという何とも姑息なカノンなのだ。 「もらったな…」 三人は早くも次の勝利を確信していた。 モリッター静かなる乱心の原因が発覚した。実は彼は秘かに宝くじで一等賞を当てていたのだ!思わず笑いが止まらなかった、という事らしい。モリッターは罰として累進課税95%の刑を受けた。そして90%分がごっそりハッシーの手に渡された。 「これで超強力怪人を製作せよ!」 「ハッ…!!」 ハッシーの目に再び輝きが戻った。そして二日後の朝、資金全てを(実はHな事に)注ぎ込んだ極超強力怪人が完成した…!! その日の昼、アロハ三人は果し状で呼び出された空き地に来ていた。 「こんな形で出動するのは初めてだな…」 しばらくして向こうから三悪と怪人が現れた。3bはある巨体だ。 「でけえ…!」 「なあに、それだけ的が大きいって事よ」 再びほくそ笑む三人。そしていよいよ、戦闘開始!! 重そうな巨体にも関わらず俊敏な動きを見せる怪人。さすがに奴らも、カノンの弱点が「よければ当たらない」事だと気付いてやがる…。ここ何体かの怪人はみんなそこに重点を置いていた。しかしもはやそれは通用しない…『パノラマ』やこの『フラッシュ』にはな! 「怪人!こっちを見な!!」 怪人の振り向きざま、5万ルクスの激光の中から原が発射された! 目をやられ、一瞬動きが止まる怪人。 「もらったぁ!」 だがハッシーには秘策があった。怪人の体表から一瞬何かがほとばしったように見えた。その秘策とは… * * * 実はハッシーは前々からハラコフカノンの効力とそのプロセスについて、様々なデータを取り研究してきた。そして導きだされた結論…それはまず、アロハレッドの駆る『ダジャレ』に端を発する。 『ダジャレ』―おろかな人類は、そのみだりな使用を神によって固く戒められている。なぜなら、それは『自滅』を意味するからだ。原のギャグというものは、その余りの反社会性というか非合法性というか、つまり『受けない』事により彼自身の存在意義を極めて危うくしてしまうのだが、これが即ち『存在意義消滅力』である。 ハッシーの分析によって、発射の直後に彼が発している「おひょー」なる言葉…これが実は新手のギャグである事が判明した。人間離れした高速言語でギャグを連発しているのがそのように聞こえていた、という事らしい。このギャグ群から生じる高圧の存在意義消滅力を、怪人と共に分かち合おう、矢も盾もたまらず君の胸に飛んでゆこう、そういう事らしいのだ。 しかしそれならばなぜランデヴーの瞬間にダジャらないのか。ここにこそ解明の糸口はあった。実は存在意義消滅力の極大出力を得るまでには、若干のタイムラグが必要なのだ。この時間…いわゆる『気まずい間』が経過する間に、彼の存在意義は幾何級数的に消滅していくのだ。その威力は3b四方に時空間凍結現象を引き起こし、周囲の人はことごとく頭痛・吐き気・めまい・倦怠・陽子崩壊などを訴える。しかしこれはあくまで通常の状態での話。これがさらに『飛ぶ』ともなると話は全く違ってくる。 それはドップラー効果とでも言うべきもので…原のギャグによって生じる存在意義消滅力とはあくまでもギャグに付随しているものなのだが、それは即ち存在意義消滅力が音波を媒介して伝わることを意味している…つまり、原がギャグを言いながら高速で移動することで原の前方をゆく存在意義消滅力が圧縮される、ということだ。音に原が追い付き始めているのである。 これによってギャグの律 前述のとおり、存在意義消滅力は媒質が音波(空気)であることで爆発的に高まるわけなのだが…それは取りも直さず、音波が伝わらなければ存在意義消滅力もまた伝わらないことを意味している! …もうおわかりであろう。先ほど怪人が体から放ったもの… それは『真空の壁』!! * * * 「うわああああああっ!!!?」 空中を飛翔する原は、自分を包み込んでいた力が何者かによって剥ぎ取られたのを感じていた―――。哀れ生身と化した原は、怪人の広い胸に頭から飛び込み…そのまま潰れて動かなくなってしまった。 「いっ…!いやああああああああああッ!!」 ブラックの悲痛と絶望の叫びが虚空に四散した。ブルーはといえば、魂を飛ばして夢の出口を探している。 大気は溶けた鉛のように重く感じられ… 折しも季節は花が散り、葉桜の頃になろうとしていた…。 どうする、どうなる、アロハマン!!!? |
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