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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第68話
ブレスレットを奪回せよ
1989年7月8日放映


 数分後に意識を取り戻したブルーは外に出てブラックの痕跡を追い、遂に洞窟に辿り付いて事の真相を知る。互いの非礼を詫びてわだかまりも解け、全てを水に流す二人(原はこの際無視)。
 やはり仲間というのはいいものだ。それなのに俺は、自ら黒く成り下がるような事を…!悔いるブラックを優しくあやすブルー。とにかく智美にスーツを重ね着させようとすると…ブレスがない!
 真っ青になるブラック。ズボンのポケットに穴が開いていたのだ。
「…そういや落ちてたブレスをたどって追跡してきたんだよね、俺」
「拾ええぇ!!
 とにかく智美をかついで魚光に戻る道すがら必死になって探したが、結局ブレスは一つも見つからなかった。
 戻った二人はとりあえず回復途上の原を引きずり出して、代わりに智美をカプセルに入れた。これでなんとか回復は図れるだろう。
 それにしても…♥カプセルの中に、スーツ一丁で浮かぶ智美の可憐な姿。たゆたう溶液に揺られてスーツの端がゆらゆらと…思わずガバと下から覗こうとする三人(って原元気じゃん)。

 翌日、マグワイヤーが街中で悪事を働いているとのタレコミがあり、長官から出動がかかる。しかしまさかブレスをなくしたなどとは言い出せず、「今日はいい天気ですねえ」とか「カレーの隠し味にはタカの爪を入れるといいらしいですよ?」などと適当にお茶を濁していると長官、
「お前達最近、負けが込んでるな。…実は今度も負けたらメンバーの交代も考えてるんだが」などとほのめかし始めた!
三人「聞いてないよー!!
 長官が引っ込んだ後、三人は迷いに迷った。今回負ける事は絶対に許されない…だが生身の我々は果たしてマグワイヤーに勝てるだろうか?
ブラックのブレスだけは健在なのだが、生死をさ迷う智美からそのスーツをはがすわけにもいかない。二時間迷った挙げ句ついに腹をくくり、急拵えの紙のお面をかぶって出動したが、なんとマグワイヤーはブルーと原のブレスを拾って変身していた!「ちぐしょー、返せええ!!
 そして生身の彼らでは全くかなわなかった。
 もはや必至の解雇通告を受けるためだけの帰還。うじうじと公園や土手を遠回りしてようやく戻ると、そこに横たわっていたのはみるも無惨にボロボロになったマグワイヤーだった!「これは一体…!?
 聞けば、あの後調子にのった彼らは早速ザンベとマチに先日の仕返しをしに行って即返り討ちにあったらしい。しかも聞き捨てならない事に、ブレスまで奪われてしまったというのだ!!
 生身の我々はマグワイヤーにすら負けるというのに、よりによって変身してても勝てなかった奴らの手に渡るとは…
 このまま帰ればクビになる。ブレス奪回にゆけば(多分)殺される…
 魚光に帰り着いた三人は廃業の運命を受け入れる覚悟を決めて長官の出現を待っていた。
「そうだよ、考えてみりゃアロハマンになんてこだわる事ないじゃん」 バイトなど他に掃いて捨てる程あるのだ。そう思ったら急に気が楽になった。笑い合う3人。その目は死んでいた。
 ふとカプセルを見上げるブラック。己れの無力を思い知らされ続けるこの瞬間も、智美はやはり神々しいまでに白かった。
(…こんな俺に、智美と暮らす資格が一体あるんだろうか。きっと智美はいいと言ってくれるだろう。だが俺はすでに一度仲間を裏切り身も心も黒く成り果ててしまった男だ。そう…ここでまた逃げてしまったら…)
「………奴らと闘おう」 原青「えっ?」
「なんとかブレスレットさえ取り戻せれば、ハイパーハラコフカノンさえ使えれば…オレ達にもまだ勝機はある!」
「お、お前…死ぬのが恐くはないのか!?
 一瞬の沈黙。膝が震える。
「…怖いよ…だけどオレたち、正義の味方だろ?」ハッとする二人。
「今度こそ三人で力を合わせるんだ。そうすればきっと…!」
 逃げて黒く惨めに生き長らえるより、戦いぬいて白く燃え尽きる道を選んだ三人だった。カプセルを見やるブラック。
 …交わした無言の誓いは、何か。
「征くぜ!追い詰められた鼠が何をするか見せてやる!」
「窮鼠舌を噛むってヤツ?」
 しばし沈黙の時が流れた。


 
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