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第70話 三位一体!激光のアロハスマッシャー 1989年7月22日放映
智「洗濯はこれでよし…と」
かすかに蝉のなく声の聞こえる、魚光アパートの202号室。今や盛りの夏の日差しの真ん中で、アロハ三人は今度こそ心も、体も、完全に白く燃え尽きていた。 今や魂の脱け殻たる彼らを世話を、智美は毎日小言一つ言わずにしているのだが、一向に彼らの心が帰ってくる気配がない。 朝夕一時間づつカプセルにも入れ、胎内音楽をかけて心の癒しを図っているのだが、時折フラッシュバックするトラウマにさいなまされるのか、カプセルの中でゴボゴボともがく事もしばしばだ。 だが智美は少しもキツいと思っていなかった。人の役に立てるのは嬉しかったし、何よりこれはブラックへの恩返しでもあった。それに、外の世界に触れるのが楽しかった。記憶をなくしているせいか、目に映る全ての物が新鮮だった。 三人の貯金は二日で底を突いたので、智美はいくつか内職を始めた。その関連で中古のノートパソコンも手に入れて使い始めた。初めて見る物なのに、自分でも驚くほど早く使い方が身についていった。 五日後、とうとうネオに部屋を明け渡す事になった。長官の招きで魚光アパートに住む事になった彼等は、なんと一人一部屋の待遇を受けていたのだ。心ここにない状態にありつつも、本能的にせめて一矢報いようとする原の繰り出す攻撃的なギャグに対して彼らは事もあろうに 「…何それ、どういう事?」「ちょっと意味を説明してくれないかな」 と最も残酷な反応をもって応えた。 原「ゆるしてぇぇぇ!!」 そんな訳で家なき子となった彼らはとりあえず近くの堀町運動公園にテントを張るが、ジョギング客などの目に晒され、子供には指差され、トラウマを逆撫でされてまたゴボゴボやってる。 これではいかんと考えた智美は三人を連れて県北の山間の河原にキャンプする事にした。新鮮な水と空気が彼らの心身にもきっといい影響を与えてくれるだろう。 一週間ほどが過ぎたある月の明るい晩、智美がふとテントの中で目を覚ますと、三人が寝袋の中に居なかった。慌てて外に探しに出ると、川辺に動く人影が見えた。駆け寄った智美に三人はつたない言葉で言った。 「コレ…アゲル」綺麗な石や貝殻、手掴みで獲った魚等を差し出して、ぎこちなく歯を見せて笑うそのさまに感激する智美。とうとう三人に回復の兆しが見え始めたのだ。全ては、これから… だが丁度その頃、偶然上流でダムが決壊していた。突然怒涛のごとく押し寄せた鉄砲水に、三人はあっという間に押し流されてしまった! 智「みっ…みんなーーっっ!!」 * * 流れ流れて人気のない小さな盆地に打ち上げられたアロハ3人。途方に暮れて辺りを散策していると、これまた再起不能に落ちぶれて山奥に隠遁していた三悪とばったり再会を果たした。嫌がる三悪。なんでこんなトコまで追われなきゃいけないんだ…!しかしアロハマンらもリハビリ中だと知ると、日陰者同士仲良くやろう、と団結し、その後何日かはつつがなく暮らした。 だがそんなある日、すっかり気を許した三人が川で水浴びをしている隙に服とブレスレットを三悪に奪われてしまった。盗られた物よりも裏切られた事に悔し涙を流す三人。悲しみは少年を大人にする。それはともかく困った三人は、顔をタオルで巻いて正体を隠し、あとは素っ裸というすさまじい出で立ちで奪回に出た。 双方共に、ザンベ達にやられたトラウマを克服しようと必死だった。とくにアロハ側は『ブレスを盗まれる』という前回と同じ局面にあり、今度こそ自力で取り戻さねば自分達は本当にダメになるという思いがあった。…この勝者にのみ社会復帰の道が開かれる! はじめは押され気味だったアロハ三人も、途中で何かがふっ切れて裸を生かしたあれやこれやの作戦(「おっぴろげジャンプ」等々)で盛り返し、遂に自力でブレスを取り戻してトラウマを克服する事に成功した。 「やったぞォー!!俺達はやればできるんだ!」 しかしその直後、山の主たる野性の大熊に襲われて大ピンチ!それを見た三悪は速攻で森の奥にトンズラこいた。片や着替えに手間取ってしまったアロハマンはなすがままメタクソにされる。それでもなんとか変身したが、鋭い爪でたちまちスーツをビリビリ引き裂かれてしまった!! 「ス、スーツが…スーツがああァァーッ!?!!」 アロハマン始まって以来の窮地にパニクる三人。 こまごまに千切れたスーツの破片を無我夢中で拾い集め、指の間からこぼれ落ちるそれをなかばヤケでブレスの中に詰め込んで変身してみた。 すると… 「やった…変身できたぞ!?」「やってみるもんだな!」 …ところがよくよく見ると布が全然足りないらしく、かたやタンクトップ、あるいはハラマキ、はたまたソデのみといった実に情けない格好であった。しかもブルーが熊に捕まり悲痛に叫んだ。 「オレごと射てえぇ!」「し、しかしこのスーツでは… そうか!」 窮地で閃く原!ブルーとブラックのブレスも同時に腕に付けて変身!見事三人のスーツが合成され、一着の深紫(赤+青+黒=深紫)のスーツとなった! 原「三重装!アロハディープパープル!!」 黒「やってみるもんだな…」 そしてたて続けに閃いた知恵と勇気のテコの原理砲で飛ぶ! シーソーで飛ばしただけとは思えぬ圧倒的威力で、熊をブルーごと撃破した!スーツに染みついていたそれぞれの力、『存在意義消滅力』 『忘却力』『お下劣パワー』により熊の存在意義と記憶と理性(あるのか?)が同時に消し飛び、廃人(もとい廃熊)になってしまったのだ。 「すっげェ…俺達の力って、実はこんなに凄かったのな」 「なんか複雑な心境だけどな…」 今、ここに三位一体の精神系超絶技が誕生したのだ。三人はこの輝かしき新技を「アロハスマッシャー」と命名した。 「これならザンベ達にも勝てる…!」 * * その日、SM教団は牛久大仏のふもとにステージを構えて布教公演 「諸君、目を覚ませ!この教団の全ては欺瞞だ!」 初めはまばらだった拍手が次第に大きくなる。いつしか会場は大歓声の嵐となった。満足気なネオ。皆、分かってくれたのだ。 と… 「マーチ、マーチ、」大歓声にかすかに混じるその声に彼らは気付いた。 「ザーンベ、ザーンベ、」「マーチ、マーチ、」その声は次第に数を増し、今や会場はザンベ&マチコールで溢れていた。 ネ「なっ…何だ!どういう事だ、これは!?」 むくり…と立ち上がってくるザンベとマチ。 ネ「!?」 よく見ると観客の大半が富士通社員…つまりSM教徒だった!これは始めから仕組まれていた事だったのだ!! |
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