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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第74話
悲しきゲッパーブルー 怒りのトリプヘコキャー
1989年8月19日放映


「ブルー!しっかりしろ、ブルー!!
 深手を負い、息もたえだえのブルーを回復する為二人はそれぞれのス ーツを重ね着させた。だが三枚のスーツが新陳代謝を激しく増幅した結果、先程の過換気症(息を吸いすぎる)に元来のゲップ体質(胃に空気を吸い込み易い)が加わり、今朝食った芋(屁が出やすい)も相俟って口から入った大量の空気が即放屁となり再び口から吸われるという大量高速循環体系、即ち竜巻を形成した!ブルーが受けたスマッシャーの後遺症はまだ癒えていなかったのだ!
「こっ…これは!?」辺りはさながら往年の『ゲームセンターあらし』の必殺技『真空ハリケーン打ち』の様相を呈していた!激しい渦がカマイタチを作り、木々の枝々を薙ぎ払う。その凄まじい暴風の中を、突如突き抜けるような絶叫が響いた。
「うわあああああああァァァァァァァッ!!!!
 声の主はブラックだった。仁王立ちで頭を抱えて絶叫する彼の下半身をよく見ると、なんとイチモツがゲーム台のレバーの如く激しく往復してしまっているではないか!しかも・・それは刺激によって素晴らしく怒張していた。これではまるで…『ゲムセンターあらし』だ!!
「みッ、見ないでくれえええ!!こんなのは本当の俺じゃないんだ!!
 必死に難しい事を考えて息子をなだめようとするブラック。このままでは竜巻ファッカーとして一生十字架を背負ってしまう!しかしただでさえスマッシャーを食らった直後で精神崩壊気味の彼にとってこれは気も狂わんばかりの仕打ちだ。見かねた原がその激しすぎる動きをなんとか止めようとするが、カマイタチにやられ血を飛沫きながら激震するモノポールに手をこまねく。
「駄目だ、俺には何も出来ない!」
 呆然とそれらをみつめるネオ一号。
「これが…これが『アロハマン』の戦いなのか!?
 実は荒ワシは竜巻を嫌ってとっくの昔に帰ってしまっていたのだ。
 同じ屁を何度も吸い込むためどんどん風の色がどす黒くなってきている。このままではブルーの内臓はボロボロだ!
「ま…惑わされるな、原!元凶のブルーをなんとかするんだ!」
「あっ、そうか!!」でもどうやって?途方に暮れてブルーを見やる原。
 どう見たってあの尻はふさげまい…
「…まてよ…ブルーの口を何かでふさぐ事が出来れば…!?
「フェフェフェ…そんなに上手くは行かないDEATHよ…」
!!なに!?
 瞬間、背後の木陰から突如現れた大鎌が原の首を掻き切った!!
「うあああああーーーッ!?

◇(コマーシャル)◇

 …が、大鎌は出っ歯にあたって止まっていた!!
「こッ、鋼鉄をも切り裂く死神の鎌を止めるとは…中々やるDEATHね」
 バッとマントを翻したその影は、全身ガイコツの死神の様な男だった。
「さすがですね、リーダー」 「ナイス出っ歯!」
 原も誇らしいやら哀しいやら。だがそこへ更にドシンドシンと地響きをたてて身の丈2bの鉄巨人が現われた。
「ヌフフフ…皆、集まっているようだな」
「こ…こいつら2人ともグルザーなのか!?
「ケケケ…あっしはドクロ大臣DEATH!」
「ムン!我輩は鋼鉄将軍である!」
 次から次へと襲い来る強敵に、悲鳴を禁じ得ないアロハマン。片や射精寸前の半廃人、片やとめどない屁を押さえられない重体患者を抱え、満身創痍の我々に一体勝ち目などあるのだろうか!?
 敵の一人、ドクロ大臣は影から影へと移動してとらえどころのない攻撃を仕掛け、鋼鉄将軍は竜巻をものともせずにノッシノッシと真っ正面から迫りくる!
 好対照の敵に攻められ、後退しようと思ったその時…
「そうだ!またエフェクターを使えば勝てるかもしれない!!
「…ダメです、機械(鋼鉄将軍)に運勢はありません!」
「だが、少なくともドクロ大臣には効く!!
「一人づつ倒そうという事ね…成程、合理的です!」
 早速エフェクターを使うホワイト。みるみるドクロ大臣の運が最低点に達し、その象徴として彼の持つが割れた!
「不吉な…!まさかあっしの身に何か?」と言い終わる間もなく倒れ伏して動きが止まるドクロ大臣。割れたのは彼の・・・膝の皿だったのだ!
「原、これを使え!」
 ネオがブルーに着せられていた三着のスーツを投げてよこした。新陳代謝が納まってブルーの暴走も納まり始める(つまりハナからこうすりゃよかったのだ)。
「応!」早速アロハディープパープルに変身し、すかさずバスターカノンに装填される原。
「アロハスマッシャー、シュート!!」 !?ま、待って!」
 見事命中、ドクロ大臣を粉砕!だが…
 煙が晴れると、ガッチリと原を受けとめて首を締め上げている無傷の鋼鉄将軍がいた。奴はいつのまにかドクロ大臣の後に回り込んで、ドクロ大臣を直撃し威力の半減した原を易々と受けとめていたのだ!
「鋼鉄め…!ホワイト、君はこうなる事を読んでいたのか?」
「あ、いえ、技の名前が違うって言おうとしただけなんですけど」
「ど…どうして奴にはスマッシャーが効かないんだ!?
 やっとで射精我慢大会から抜け出したブラックが、陰茎がズボンにこすれないようにそろそろと歩きながら問い掛けた。
「さっきホワイトも近い事を言っていたが…奴のようなロボットにはスマッシャーの精神系効力は意味をなさないという事らしいな」
「ええ…それに、奴の装甲にはバスターカノンの威力をもってしてもダメージは与えられないでしょうね」
「そんな…それじゃ奴に勝つ方法はないじゃないか!」
「…くるぞ!」
 原を投げ捨てる鋼鉄将軍。原が深紫化(ディープパープル)しているのでブルーとブラックは生身のままだ!突進してくる鋼鉄に成す術もなく弾き飛ばされる4人。…打つ手なし、絶体絶命!!
「せ…せめてオレがあんな事をやっていなければ…!」
 自分を責めるブラック。
「こんな時に快感に身を委ねてなどいなければ!!
 ブラックの動悸は高まり、瞳孔が閉じて目の前が暗くなる。スマッシャーのせいで再び存在意義を失いかけていた彼の心にはもう居場所がなかった。逃げ場がなかった。ただ…
「負けられない…!俺はもう負けられないんだあぁ!!
 ついにキレたブラックは、辺りにいまだもうもうと充満する屁に火を放とうとした!「奴らを倒して、オレも死ぬ!」
 1号とホワイトが必死に止めるが彼は止まらない。
「放せえ!俺はッ…俺はもうこれ以上黒くなりたくないんだよ!!
 突然、ブラックに平手打ちを食らわせるホワイト。
「あなたのそれは、ただ逃げているだけよ!なぜ先を見据えた最前の策をとる事が出来ないの!?
「あ…あんたが…あんたが俺の居場所をなくそうとするんだ…」
 わななきながら後ずさるブラック。
「わかんねェよ…!白い奴に、俺の気持ちはわかんねェよ!!
 ブラックにはもう何も見えてはいない。頭を抱え、己の心に埋没してゆくのみだった。 「ダメね…。もう、処置なしだわ」
「……」事のなりゆきを黙って見ていたネオ。と、何を思ったか突然ホワイトを突き飛ばした。 「なッ、何を…!?
 振り向くと、一号は既に鋼鉄将軍に捕まっていた。
「ヌフフフ…死出の別れはもう済んだかな?」
 ネオの首を鷲掴み、軽々と持ち上げる。
「ドクロをやられたのは痛かったが…これでもう計画の邪魔をする者は居なくなる。指輪も全員殺した後にゆっくり探すとしよう」
 ギリギリと首を締め上げる。 「ネ、ネオ!」
「ムハハハ…とうとう貴様等( ネオ )ともお別れだな!」
 フッ…と笑う一号。
「…逆だよ、わざと捕まったんだ。つまり捕まったのはお前の方さ」
「何…!?」鋼鉄がネオを振り払おうとしてみても離れない!
「いささか不本意だが、これしか道はない…」
 ホワイトに向けて指輪を投げるネオ。
「頼むよ…三人を連れて逃げてくれ」 「ネオ…!?
 一号は鋼鉄将軍の頭を鷲掴みにすると、そのまま内部の電子回路にコネクトし、鋼鉄の体内に埋め込まれた自爆装置を作動させた!
「わ…我輩に自爆装置が!?
 大爆発!
「ネ…ネオーッ!!
 ネオは壮絶なる死を遂げた。もはやボロボロのアロハ三人とホワイトはさらなる追っ手の追撃をかわして山中をひたすら逃走した。
 途中で降り始めた雨の中、四人は誤って足を踏み外して激流に流され、そのまま袋田の滝から落下していった。


 
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