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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第86話
6人のアロハマン
〜世界の中心で「ああっ!いいっ!」を叫んだけだもの〜

1989年11月11日放映


 …あれから半月が経った。SM教団は更なる飛躍を成し遂げ、もはや完全に日本での覇権を確立していた。女王が発振するSの波動によって国民の半数がごっそりMにカミングアウトしたからだ。遂に日本の国教はSMに制定され、SM教育基準法によって全ての教科書・絵本類はSM寄りに改訂された(例:『お爺さんは山へシバかれに…』)。
 今や大多数の日本国民は自らSMを望み、支持していた。…いつか智美が言っていた「ブームが一定規模を超えてしまったら…」が、遂に現実のものとなったのだ。
 今や日本は『大日本SM教国』へと着実に変貌を遂げつつあった。
 そして「全世界にSMの秩序を!!!!」のスローガンの元、教団は再びザンベ復活と大王起動の計画を開始した。それは即ち、日本国民残り半数のS化、更には全世界SM化の幕開けを意味する。草の根で果敢な抵抗を続けていた『アロハマン』もその姿を消してしまった今、教団の計画を阻止できる者はもはや日本には存在しない。 
 今、世界中の人々が恐怖と、絶望と、諦観にうちひしがれ、一部期待に胸ふくらませていた。
 …もはや、全ては終わってしまうかに見えた…

 郊外のどこかから響いてきた爆発音に、ミミ…いや、『マチ』は物憂げな目をちらりと向けた。
「…おそらくはまたどこぞの工作員でしょう。我が武装親衛隊に加えて自衛隊の治安維持部隊も展開しておりますゆえ、ほどなく…」
「おだまり」教団警備主任の退屈な報告を、可愛い声でぴしっと撥ね除ける・・マチ。喜びに打ち震える主任(M)。…実のところ、今のマチの姿はひそかな人気を博し、新たなファン層を獲得していた。
 その彼女は、先程から立て続けに聞こえてくる銃声やサイレンも、全く意に介する様子がない。
 …こんな事はもう、近頃では珍しくなくなっているのだ。
 今、日本には全人類SM化計画阻止のため、各国から多数の秘密工作員(エージェント)が潜入している。先程の爆発も彼らの手によるものだ。
 更に万一計画が発動してしまった時に備え、『巨神』の波動放射を以て「精神的侵略行為」と認定し、即座に総攻撃に移るべく多国籍軍が日本近海に展開している。
 教団と諸外国の板挟みになった日本政府は、治安維持の名目で水戸周辺に自衛隊を展開し、戒厳令をしく事でなんとか双方に面目を立てようと試み、結局どちらからも顰蹙を買うという不様な結果を招いていた。
 このような状況下にも関わらず、教団の政治・軍事部門を司るマシーンは最近ふっつりと姿を見せなくなっていた。…もっともグルザー軍団が事実上壊滅した今となってはその教団管理体制も有名無実となっており、マチ自身全く気にしていなかった。
「…ご苦労、もう戻っていいわ」
 程々に有能な部下を下がらせると、マチは大きな樫造りの机の上の写真立てに視線を移し、そこにはめこまれた在りし日のザンベの姿をじっと見つめた。
 そう…全てはどうでもいいことだ。
 ザンベが復活し、二体の巨神が揃ってしまえば何もかもが解決するのだ。その前にあってはこのような事など、所詮些細な世間の雑事にすぎない。
「待ってて…今、行くわ…!」
 卓上の内線が鳴り、マチを階下へ呼ぶ。
 ようやく、再度のサルベージの準備が整ったのだ…!

 SM本部ビルの最下層、教団内でも一部の者しか入れないエリアの一室に辿り着いたマチは、その中に設置された儀式装置(パンドラシステム)へと足を向けた。
 無数の機械とケーブルで埋め尽くされた暗い室内の中央にぽっかりと空く半径数bのスペースには、様々な紋様を描き連ねた光の魔法陣が床に浮き出している。マチは特殊スーツに身を包み、陣の中心に立った。
 …今回は『意識を保ったまま生体オリハルコンに封印された』という極めて特殊な条件によって、通常のダイブのように・・・・・・・・精神を切り離して潜る事が出来ない。だがその代わり、・・・・肉体ごとのダイブが出来るというなんとも異例の力を持つようになった。
 また紅玉と直接融合し簡単に力を引き出せる様になったため、補助システムとしての『女王』も要らなくなった。それに合わせてシステムを変更し、万全に調整するのに半月の時間を要したのだ。
 …機械群の中央に繋がれた主幹装置が静かに起動する。
 かすかな燐光と共に、マチの輪郭が徐々に消えていった。

 同時刻、本部ビルから少し離れた建物の一室に、教団から姿を消していたマシーンの姿があった。彼は今、儀式システムのフィードバック系を通してマチにハッキングをしかけていた。マチに取りついてパンドラの扉の向こうにゆき、今度こそかつての悲願…『統治のイデア』を手に入れようとしていたのだ。
 …元々彼はいつか女王のコントロールを奪い、その力を操って世界を統治するつもりであった。それが予期せぬイレギュラーによってマチの「肉体ダイブ」が可能となり、このような荒技までが出来るようになったのだ。
 …今、マシーンはマチの目を通して潜象世界を見ていた。様々な色が渦巻き、溶け合い、生き物のように脈打つ不可思議な空間。
(…これが…!!
 遂に目のあたりにする念願の潜象世界に、マシーンは感無量であった。
 …一万年前、私に統治のイデアを降ろそうとした実験で、魂の…『心』のない私にはイデアが融合できず、計画は失敗に終わった。
 そして私は存在意義を失った。この事は感情を持たない私の中にも根源的な疑問として深く根を下ろした。・・・・そのためだけに造られていながら・・・・・そのための・・機能がないという矛盾は、機械の思考の底で常に軋みを上げていた。
 そして今…パンドラの扉にゆくため潜象世界にダイブするにも、マチに張りついて一緒にゆく以外に方法がない。
 なんという…屈辱…!!
 …だが…今、遂にこうして私は潜象世界に来ている!世界の根源、宇宙の本質とリンクしている!このまま『扉』の向こうまでゆければ、今度こそ『統治』のイデアと融合できるかも知れない!
 もしかしたら…『魂』そのものさえ手に入るかもしれない!!
 マチより強力なイデアの体現者となり、世界を統治する事も…!!!!
 …やがて永い潜行の末に、遂にマチはパンドラの扉へと辿り着いた。
 その右手が扉にかかるのを見た時、マシーンは胸が高鳴る、という感情を初めて体験していた。
「やっと…やっと私の積年の願いがかなう!これからは誰も、誰一人として私を止められないのだ!!
 …だが……!!
!!!!!?
 バシィッ、と弾かれたような衝撃と共に、マシーンはマチの魂から強制的に引き剥がされ、そのまま現実世界に叩き戻されてしまった!!!!
「ガハァッ…な……ッ!!!?
 マシーンはパンドラの扉をくぐる事が出来なかった。世界の本質は結局、機械の疑似精神を受け入れなかったのだ。衝撃でマシントラブルを起こし、体中からバチバチと放電するマシーン。
「…これが機械の…限界なのか…!?」その眼からオイルが流れていた。
「何故だ…!!どうして機械ではダメなんだ!!!?
 バランサーのショートでよろめき、膝を震わせながら必至に立ち上がろうとするマシーン。
(だから…だから貴女は『男闘呼回路』を作ったと言うのか…!?
 自分を作った女性の面影がマシーンのメモリをよぎる。
「…私は結局、失敗作だったとでも言うのか!!…『心』を持てない、不完全な欠陥品だと!!!!
 壁一面にはめこまれたガラスに必死にしがみつくその眼下には、視界一杯にビルの街並が広がっていた。
「…いや、まだだ…!!私はまだ諦めぬぞ!イデアなどなくとも私自身の…機械の力でこの世界を!この眼に映るもの全てを支配してやるッ!!
 マシーンが吠えた、その瞬間…
「チェンジ・アロハ!!」突然の叫び声と共に、ガシャーン、とガラスの一面を粉々にして、三つの影が飛び込んできた!!
 閃光と共に姿を変え、闘志と決意をその身に纏った彼らの名は…
「常夏戦隊!アロハマン!!
「貴様ら…やはり生きていたのか!よもやローズ如きと差し違えたのかと思っていたが…!」
 そう…彼らは死んでも、逃げてもいなかった。原の回復を待ち戦力を整え、マチを倒せる唯一最大のチャンス…サルベージで肉体が脱け殻となる瞬間を虎視眈眈と狙っていたのだ!
 …だがここに向かう途中、テラの潜象ソナーの分析によって、マチが肉体ごとダイブしていると判明する!ありえないデータに戸惑うも、マシーンもまた共にダイブしている事を知り、急遽作戦対象をマシーンの身体(ボディ)に切り替えたのだ。然るのちにパンドラシステムを破壊し、マチを肉体ごと潜象世界に葬る!! …だが…
 マシーンは既に現実世界に帰還していた!一瞬恐怖に身構える三人。
 …しかし、マシーンのあの状態…!やはり勝機は今しかない!!
 覚悟を決めて並び立つ三人!!
「…いくぞ!今日こそ貴様を…マチを倒してこの闘いに終止符を打つ!!」「ク…ククク…」
 低い笑いを漏らしつつ、マシーンがユラリと立ち上がる。
「今の私は虫の居所がすこぶる悪い…来い!もう遊びは終わりだ!軽くひねり潰して溜飲を下げてやる!!
 激突!!…だが! !?」マシーンの体が弾き飛ばされる!
 …アロハマンは今、信じられないほどの強さを発揮していた!マシーンを圧倒し、じりじりと追い詰めてゆく!!
「バカな…バカなバカなバカなッ!!こんなカス共に私が苦戦するだと!?カスが…こんなパワーを!!?」
 単なるマシーンの不調ではない…彼らは明らかに強くなっている!
「これで…!これで終わりに!!最後にするんだ!!!!」 
「…もう、あんな事は二度と…!!」 
「二度と智美みたいな犠牲は出さない!!…出してたまるかぁーーッ!!!!」 彼等の拳にこもった想いは、単なる怒りや復讐心などではなかった。哀しみを越え、憎しみを越え…全ての悲劇の幕を下ろさんとする固い決意と願いが彼らに空前の力を与えているのだ!
 そして…彼らの切なる『想い』の力が、遂にマシーンを吹き飛ばす!!
「こッ…これが『心』の力なのか…ッ!?
 もはや防戦一方のマシーン。
「『心』を持たぬ私は…やはり不完全なのか………!!!?
 再びメモリによぎる創造主の姿…だがそれは、彼女がマシーンに背を向けて男闘呼回路を作っている光景だった!!
「…………!!!!」慟哭をする…マシーンの『想い』……!!!!!!
「いけるぞっ!このまま一気に…!!
「認めーんッ!!!!」ドガアッ、と3人の一斉攻撃を弾き返すマシーン!
「…心!心!!!!!!…またか…ッ!!いつもそうやって私にまとわり続ける!!認めんぞ…私は認めん!認めてたまるか!!心の力など…手に入らぬ物などこの手で砕き去ってくれる!!!!
 それは咆哮…そして慟哭だった。マシーンは信じ難いパワーを発揮して、一瞬の内に形勢を逆転させる!
「つっ、強い…!!」改めて驚嘆する三人の耳に、無人のコロシアムにいるテラから通信が入る。
『急げ…!マチがパンドラの扉から戻ってくるぞ!』
 早く…早くしないと!だが…マシーンは余りに強すぎる!!
 見る間にボロボロにされる三人!
「ダ…ダメか…!やはり俺達・・だけではダメなのか!?
「フハハハ、そうだ…!所詮貴様ら如きが私に勝てる筈がないのだ!!さあ、潔く散れいっ!!ハラワタをこの場にぶちまけろ!!!!」 
「ぐああぁぁっ!!」 「はっ…原ァーっ!!」 
「…クソッ、・・アレは…!・・奴らはまだなんですか、テラ!?
『…ああ、待たせたな…!』その声と同時に、三人の背後の壁が轟音と共に吹き飛んだ!!そこへ現われたのは…見覚えのある3つのバイク!!
「お…お前ら…!!
「…バ、バカな…!!どうして・・・貴様らがここに!!!?

 …そう、これこそテラが一人で大闘技場(コロシアム)に居た理由…!
 大闘技場に放置されていたままの「あるもの」!それは…
「…見せてみろ…!『心』の奇跡が本当にあるなら、そいつを私に見せてみろ!!」闘技場の操作室でモニターを見つめてつぶやくテラ。
「私は、その為にお前達を甦らせたのだから…!!

「…待たせたな…!」逆光にそびえる三つの影が一斉に叫ぶ!!
『推参!新・常夏戦隊ネオアロハマン!!
 テラによって完全に修復された彼らは今、溢れる力に輝いていた!!
「ネ…ネオ!!」 「待ってたぜ…ッ!!
「遅れてすまない…!!
 倒れた原に手を差しのべ、固い握手をかわすネオ一号。
 …その手はかつて三人を解雇に追い込み、
 身代わりとなって戦火に散り…そして、
 宿敵として幾度となく合いまみえてきた者の手だった。
 その手を今、万感の想いを込めて固く…固く、原が握った。
「…よく…よくぞ……!!」涙に震えて、言葉が続かぬ原の声。
「テラめ…プログラムも元に戻したか!」
 漢達はにじんだ涙を拭い、互いに頷くと…
 ザッ、とマシーンの方へ向き直る。そして…
 真の最終決戦に臨み、初めて名乗りを揃い踏む6人の戦士達!
「レッド!」「ブルー!」「ブラック!」「(ワン)!」「(ツー)!」「(スリー)!」
「…6人揃って…!!
全員『我ら真・常夏戦隊アロハマン!!正義の為にここに見参!!!!
 今…初めて本当に一つになった常夏戦隊!
「ここで一気にケリを付けるぞ!」 全員「応!!
 全員で一気に殲滅せんと突進!だが…
「ふざけるなァーッ!!
 六人相手に尚も互角に立ち回るマシーン…!未だにバランサーが回復しきらないまま、それでも圧倒的なこの強さ!凄まじいパワーとスピード、そして計算能力の前に苦戦する六人!かろうじて互角…いや、生身の3人がいる分、やがてこちらが不利になる!
 そうなる前にケリを付ける為には、やはり…・・アレしかない!
「レッド…カノンを撃とう!」!?で、でも奴に俺のカノンは…!」
 前回のスマッシャー惨敗の苦い記憶が蘇る。
「いや…・・・・俺達二人 ダ ブ ル二連撃でだ!」 「な…!?」 
「まずバスターカノンの物理的破壊力でマシーンの装甲を剥ぐ!…そこにスマッシャーの精神破壊を撃ち込めば、『御心体』を砕く事が出来る筈だ!名付けて…『ビクトリーアタック』!!」 
「…そ、そうか…!!」原の顔が輝く!
「けど…そのためには奴の動きを止めないと!」残り四人の方を見る原。
 …彼等は戦いながらもお互いの目を見て頷き合い、「…分かった!」と親指を立てる! 「よし…いくぞ!!
 決死の覚悟でマシーンに飛びつくネオ2号と3号!挟撃を躱して一瞬マシーンの身体が宙に浮く。 「…今だ!!
 すかさずブルーのバズーカが火を噴き、マシーンをコンクリートの壁に叩き込む!! 「ムウ…これしきで…!」
 …そこへブラックが服を脱ぎ捨てながら乱入!!
「おあああァ!!三枚開放拳ッ!!!!
 ドバ!と広がったフィールドでマシーンを壁に押し当てて動きを拘束!あたかも超電磁竜巻状態!! 「グ…ガアアアアア!!!?
「いまだあァーーーーーッッ!!!!
 己のカノンを呼ぶ二人のリーダー!
「バスターカノン!!ビルド・アァーーップ!!!!
 合体し、組み上がりゆくバスターカノン!
「購入ッ!!精密射撃用使い捨てカノン『撃てるんですスナイパー』ァァァッッ!!!!
 輝く電送陣の中から姿を現わす使い捨てカノン…!!
「いくぞマシーン!」 「これで…最後だ!」
 カノンに装填される1号と原!
 永い戦いの末に…今!初めて二つのカノンが一つの敵を撃つ!!
1・原『ビクトリィィ!アタァアーーーーーーーーッッック!!!!!!!!!!!!
 激光の二段直撃!!轟音と共に吹っ飛ぶマシーン!!!!
「グハあああァァァッッ!!!!!!
 部屋ごと砕く大爆発!!もはや跡形もないマシーンの影!!
「…やった!!遂にやったぞ!!」「これであとはパンドラシステムを…!」 …その時、突然瓦礫の山を砕いて手が突き出す!
「う…うおおおおおお………ッッ!!」…まだ立ち上がってくるマシーン!
「バカな…!こいつ、不死身か!!!?」御心体には確かに亀裂が入っている…!だが、まだ完全には壊れていない!
 もはやいつ果てるとも知れない戦いをテラからの通信がさえぎる!
『何をしてる!?マチが…ザンベを連れて扉の向こうから戻ってきたぞ!!「…!!!?」 「…で、でもまだマシーンが…!!
 しかしその時、マシーンに飛び掛かりながらネオたちが叫ぶ。
「…行け…!こいつは俺達がなんとかする!」 !?し、しかし…!!「…目的を見誤るな、アロハマン。君達は…マチを止めるんだ!」
「計算によればこの戦法が最も目的完遂率が高い!…さあ、早く!!
 相変わらず合理的な物言いをするネオ三人。だが…その実、これは捨身ギリギリの戦法だ。
 しかしネオ三人は力強く、そして優しい目を…・・・あの時の三人と、同じ目…をして笑った。 「…お前ら…!」 
 成長した『魂』を全開にした彼らは…まごう事なき『(おとこ)』であった。
「……くッ…!」と原が踵を返す。その背後では、再び苛烈な戦いが繰り広げられていた!
「…合理、合理、合理…!それで結局、最後はいつもこうなるんだ!」
青黒「原…」 「…無理を承知の…ゴーリ押しにねッ!?
青黒「な……!!!?
 この期に及んでなおも炸裂する『原』に、二人は言葉を失った。
 …そして………………………………………………………………
 …一瞬の致命的な停止をしてしまった彼らは、マシーンにいっせいに吹っ飛ばされながら口々に叫んだ!!
1・2・3「つッ………つまんねェェ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!
 …それはネオが、初めてギャグをギャグとして認識した瞬間であった!
「…そうか…!」原は笑った。ぽろぽろと泣きつつ…なおも、笑った。
「そうか………つまらんか!!!!
 三人はその場をネオに任せ、一路SM教団ビルへと向かった。

「な…こ、これは!!!?
 三人が建物の外に出てみると、水戸の空には緊急避難のサイレンがけたたましく鳴り響いていた。大通りには周辺に配置されていた各派の治安維持部隊が延々とひしめき、鉄壁の防御線を敷いている。いよいよ目前に迫った計画発動に備え、日本と諸外国両者が動き始めたのだ。AH−1S戦闘ヘリが市街を掠め、90式戦車が路駐の車を下敷きにしながら行進する!
 ところが…彼らは指名手配犯『アロハマン』の出現に気付くと、一斉に砲口をこちらに向けてきた!!
「…な!?ちょっと待…」
 一斉攻撃!!ブラックの開放拳でギリギリこれを防ぐ!
「やめろーっ!あんたたちと戦うつもりはないんだ!!
 こうしている間にも、ネオは傷つき…マチは現実世界に戻ろうとしている!もはや一刻の猶予もない!
「…くっ…こうなったら強行突破しかない!!
 いくら武装しているとはいえ、相手は普通の人間だ。数が揃った所で怪人の比ではないが…しかしそれは、三人の側にしてみれば本気を出す訳にいかないという事でもある。
「手加減しろよ!一般人には…」
 ドガガガガ、と機関銃の直撃を受ける三人。いくらスーツで止まるといっても、そのダメージはけっこうある。
 …思えば、人間相手の兵器とまともにあいまみえるのは初めての事だ。
「へっ…なかなか辛い立場だな!」
「…時間が惜しい!一気に抜けるぞ!!
『うおおおおおおおおおお!』銃弾の嵐の中を駆け抜ける三人!!
 平然と突っ込んでくる戦士の姿に、その場の兵士全員が戦慄をする。
「バカな!命中しても死なない…いや、倒れもしないなんて!!!?
 戦車砲の直撃すら耐え、バズーカとブーメランが次々と砲身だけを破壊してゆく!
「どけえェェェェ!!!!
 サイレン響くビルの谷間を疾走し…翔る三人!
「オレはアンタ達の敵じゃない!オレは…俺達は…!!
「答えろ本部!!アレは…アイツらは一体なんなんだあぁっ!!!?
「『悪』のみの敵!『正義の味方』だァーーーーーッッ!!!!

「ガ…ハアッ…!!
 マシーンはネオ3人の捨身のコンビネーション攻撃の前に、遂にその御心体を破壊されてしまう!
「…また、心…!同じ機械なのに、これが…『心』を持つ者の力…なの
…か…!?」エネルギー源を失い、機能停止してゆくマシーンの姿を見て安堵するネオ。
「…これでもう…二度と動く事はない。さあ、俺達もあいつらの援護に…」 背を向けて階段に向かい歩き出すネオ。だが次の瞬間…その身体を背後からの一撃が貫いた! 「ぐああああ…!!!?」 
「さ、3号!?」 「バ…バカな、貴様は…ッ!!
 …それは…いつのまにか再起動したマシーンだった!!
「あ…ありえない!!御心体の精神波なしに何故………まさか!!!?
「馬鹿な!奴に…機械に(こころ)はない筈だ!!
「…オレハ…俺は、支配者なのだァーーーーッ!!!!

「そ…そんなバカな!!M−666が…!!!?
 モニター前で愕然とするテラ。
(…名前を付けたものには、何にでも魂が宿るんですよ)
 かつて…アトランティスで智美が言っていた言葉を思い出す。
「まさか…本当にそんな事が!?それとも…ダイブの副作用によって『心』が生じたとでもいうのか!?

 もはや闘おうにも、ネオには既にその力が残っていなかった。
 いや…それ以前に『心』を得てしまったゆえの『恐怖』が、彼らの脚を一瞬止めてしまったのかもしれない。
 どぎゃん、とネオ1号2号の胸をえぐるマシーン!
 ネオ三体の三つの男闘呼回路を奪い、自らの御心体があった場所に接続!完全な『機械の魂』を得る!!
「アハハハハハハ!!これこそ本当の心!弱さのない完全な心だ!!
 狂ったように笑うマシーン。
「そうだ!俺は真心(マシーン)!!真心(マシーン)大皇帝なのだーっ!!!!
 …遂に…私は完成した!願って止まぬ完璧な存在になった!!
 例え私が、あなたにすれば欠陥品だったとしても!
 私を超えるために男闘呼回路を創ったのだとしても…!
 今!私はあなたの思惑を超えたのだ!!
 …私の勝ちだ!!!!……・・・母さん……ッ!!!!
「…オレはもう、何物にも縛られぬ!!何物たりともオレを縛る事は出来ぬ!!!!…さあ…これからオレの世界が始まるのだ!!!!!!
 …今やエネルギー溢れるその身体を一歩、また一歩と進めるマシーン。
「…壊してやるぞ…マチも!…ザンベも!!強くなろうと、蘇ろうと、全て粉砕してくれる!!全て…我が手に従えてやるッ!!それが…ッ!」
 鋼鉄の(てのひら)を見つめるマシーンの眼が太陽の如き光を灯す!!
「…・・・・・・それがオレの・・統治ッッ!!!!

 言葉を失うテラの眼前で、ネオから送られていた映像が次々と途切れてゆく。
「…『統治』だと…!?M−666、まさかお前は……!!!?
 …だがテラにそれ以上想いを馳せている時間はなかった。こうなった以上、もうここに残っていても意味はないのだ…!!

 立ち塞がるセキュリティと警備兵達を退けて、遂にSMビル最下層へ辿り着くアロハ三人。
「急げ…!もう時間がない!!
 ギリギリで地下研究室に駆け込んだ三人は、すぐさま儀式装置(パンドラシステム)を破壊して二人の現象世界帰還を阻止しようとする。だが……
 …魔法陣の中に現象化し始めた『マチ』の姿を見て、驚愕のあまり手が止まってしまう!
「…ま、まさか…・・・・・ミミちゃん!!!?
 あまりの事に身動きが取れなくなる三人。
 いや…むしろあまりの美しさに見惚れてしまったと言うべきか。
 肉体ごとダイブした事によって彼女の力はより純化され、その内から神々しいまでの(オーラ)があふれだしていた。しかもその背中には、実体とも幻ともつかない深紅に輝く翼が生えていたのだ。
 …そして彼らは見た。吸い込まれそうな憂いをたたえた瞳と、傷だらけの翼をたずさえたザンベの魂の姿を…!
 今までザンベの魂は多重的存在だった。それが『死』を経る事によって、今まで力に限界(リミッター)をかけていた存在…アトランティスで最初にMのイデアと融合した『健全な人間』の魂が外れたのだ!…最早素質ある(三部)とイデアだけになったその余りにピュアな姿は正しく、愛の(ああっ、いい!)天使であった。
「…………………………………………………………………!!!!!!!!!!
 まるで魂を抜かれたように、ただただ二人に見惚れてしまった三人は、ザンベの魂が再生体に戻るのを許してしまった!
 …まるでスローモーションの映画のように、静かにカプセルが・・・・・・・内側に向かって砕け散る。バサアッ、と翼を横一杯に開いたザンベは、ゆっくりとその両目を開き…
 そして、朗々たる第一声を発した!
「あ〜いの〜め〜〜ざめ〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!!
 その瞬間、まばゆき閃光が地下室を覆い尽くす!
 今や純粋なイデアを魂に抱いたザンベは、もはや昔のザンベではなかった!死と再生によってくびきを解かれ、全ての力を解放した彼は…
 聖なる光のけだもの、魔獣天使ザンバードに転生した!!!!
 ドウ、と地下室全体が一瞬にして崩れる!
 いや…全ての物質がザンベをシバきに殺到したのだ!!
原青黒「うわああああああッッ!!!!!?

 命からがら瓦礫の中から這い出してくる三人。あの二人の姿はとうになかった。まだ余韻で頭がぼーっとしている。
 が…巨大な振動を感じてようやく正気に戻ると、耳元ではテラの通信ががなりたてていた。
『何をしているんだ!?もう『大王』が…『あえぎサンダー』が水戸まで来ているんだぞ!!』 三人「あ…『あえぎサンダー大王』ォ!?
 するとこの揺れは…『大王』の歩く地響きなのか!
 慌てて視界の開けた場所に飛び出す三人。その目が見たものは…
 全高100b以上はあろうかという、天をも覆わんばかりの巨大な像が、大地を揺るがしながら進撃してくる光景だった!!!!
 …しかも茨城県民なら一度は見た事があろうその姿…!
「…あ、あれは…牛久大仏じゃないか!!!?

 その光景は、闘技場から現場へ急ぐテラからもハッキリ見えていた。
 しかし大王復活に焦るその一方で、別の想いがテラの心を占拠していた。「…M−666…!お前…お前は……!!

 大仏の手の平の上に立ち、その巨大な歩みを操るザンベ。
 それはまるで彼が釈迦の手の平の上にあるもの…即ち『世界』であると言っているかのようだった。
 騒乱制圧のために出動していた各部隊が一斉に方向を変える。いかにSM教に染まった国の自衛隊とはいえ、さすがにこれは見過ごせずに次々と攻撃を開始した。
 …というより、攻撃せずにはいられなかったのだ!
 しかし砲弾やミサイルの雨にも大王はビクともせず、ただ大仏の張り子が壊れて本当の姿が現れただけだった。
 なんとか食い止めようと、元凶であるザンバードを(シバかずにはおれずに)必死に攻撃しても、その圧倒的なM力の前に太刀打ちできない
…何しろいかなる攻撃も物足りないのだ!どんな攻撃にも物足りなそ〜な目をして、じっと黙ってこちらを見つめ続ける…
 無視しようとしても、どうにも気になって仕方ないッ!! 
 その光景を見て絶望に打ちひしがれるアロハ三人。
「こっ…こんなのどうやって倒せばいいんだ…!!!?
 手をこまねくしかない彼らの後ろから、圧倒的なパワーをまとった男が建物を突き破って現れる!それは…
「マ…マシーン!!!?」 「そんな…!それじゃネオは……!?
 その胸に三つの男闘呼回路を見て愕然とする三人。
「…………ッ!!
 …前門の虎と、後門の狼。二つの絶望に挟まれて、しかしなおも戦いを挑むアロハマン!だが今や完全体となったマシーンは、その超絶的なパワーで三人を一瞬にして蹴散らす!
 もう…『アロハマン』など既に彼の眼中にはなかった!!
「ハハハハハ!!弱い!弱いぞお前達!!力なき愚かなる者共よ…我に従え!我が忠実な下僕に、我の『身体』になれ!!…貴様らに『心』は要らぬ…!!『心』は…世界にたった一つだけあればいいっ!!!!
 もはや彼の強さは他の追従を許さなかった。
「…そして人類は一人の人間となる!最初の人間、アダムへと帰るのだ!我にイブは要らぬ!知恵の実も要らぬ!矛盾なき、完全な『一人』になるのだ!葛藤も争いもない絶対の秩序…これこそ真の『統治』だ!!
(…心を持ってしまった以上、貴方は必ず一人では居られなくなるわ…)「!?誰だ!」
 感覚器(センサー)を通さず、直接電脳に語りかけてくる声に戸惑うマシーン。その後にいつのまにか立っている白い帽子とワンピースの幼い少女は、マシーンが振り向くたびにそれとは別の方へと現れては消える。
(…貴方はいつか、自分(こころ)の中にもう一人の人間(イブ)を作り出してしまうでしょう)
「…う…うるさい!」
(そうなれば再び、人類は分かたれ始める)
「うるさい!ウルサイ!!ダマレ!!
(…『心』とは、ひとつでは存在できないものなのですから…!)
「黙れェ!!オレは支配者だ!!オレは…統治者なのだァァ!!!!
 一気に大王の手のひらまでジャンプするマシーン!
(…なぜそうまでして(こころ)を欲しがるの?…それはとても苦しい事なのに。それはとても哀しい事なのに…!)
「それが『生きている』という事だからだ!例えどれほど苦しくとも、哀しくとも、俺はもう『動いていただけ』のあの頃には戻りたくない!!

 一万年前、一度目の実験の時…
 マシーンはイデアと融合できずに終わった。
 マシーンは『心』を持っていなかったから、別に残念でもなかったし、悔しくもなかった。
 だが実験前、あれほど期待のまなざしでマシーンを見ていた科学者達が放った「しょせんは機械か」という一言…
 その一言だけは、メモリーの一番深い所に記録(セーブ)された。

「死ねえっ、ザンベ!!我が力の前にひれ伏すがいいッ!!
 マシーンは目の前の敵に向って渾身の一撃を食らわせた!
 だがザンバードは身じろぎひとつしない!!
 再び、マシーンの必殺の一撃!!

 二度目の実験の時…
 もはや、マシーンは単なる助手だった。
 能力的にはマシーンよりも遥かに下の取るに足らないような学者が、人間だというだけでマシーンを蔑み道具扱いしてはばからなかった。
 対等に接してくれたのは、智美とテラだけだった…

 目の前の魔獣はまだ倒れない!いや…微動だにしていない!!
「おのれッ…それなら、これでどうだァ!!
 マシーンはさらなる打撃を加える!…一発!!二発!!そして三発!!

 そして生まれたザンベとマチに、マシーンはかなわなかった。最初はテラと協力して倒そうとしたが、どんなに死力を尽くしてもとうとう二人を倒せなかった。それからまもなくの事だ。
 彼らの圧倒的な強さに魅せられ、いつかその力を我が手にしようと軍団を結成し二人の配下になったのは…

「まだか!…まだ倒れないのか!!ザンベのくせに!!!!
 もはやマシーンの両手はボロボロだった。身体の各部が、過負荷で煙を吹いていた。三つの男闘呼回路は悲鳴をあげる程過熱していた。
「ウオオオオオオアアッ!!
 しかしザンバードには全く効かない!!マシーンは今まで無意識に残していたリミッターを遂に解除した。男闘呼回路によって極限まで強化されたその一撃は、この世のあらゆる物質を粉砕する代わりにマシーン自身の身体もバラバラにしてしまうだろう。
 しかし、マシーンに迷いはなかった。真の頂点に立てないのなら、己の存在などに意味はない!!
「オレは支配者だ!支配者でなくてはならないのだァーーーーッッ!!!!!!
 ……………………………………………………………………

 この世に作り出されて、マシーンが最初に見たのは智美の母だった。 彼女は言った。
「あなたは、人類の頂点に立つために生まれてきたのよ。あなたが人類全てを統治して、みんなが幸せになれる世界を作り出すのよ。それが、私の…」

 マシーンの身体は、崩壊した。

「人類みんなの、願いなの」

 辛うじてまだ人の形を止めたマシーンは少しの間踏みとどまったが、やがて無傷のザンバードの目を見た瞬間、絶望の内に大王の手から地上へと落下した。
「…そんなもの足りなそ〜な目で俺を見るなぁ〜〜〜〜っ!」

 …壊れながら落ちてゆくマシーンの姿を、『少女』はただじっと見つめていた。

「M−666…!!」ギイッ、とバイクを止めるテラ。
 ようやく現場に駆け付けたテラが見たのは、今まさに地に堕ちてゆくマシーンの最後の姿であった。駆け寄るテラのはるか先で大地に叩きつけられたマシーンは、壊れた玩具のように簡単に砕け散った。
 マシーン・・・・・だったものの傍らにひざまずき、動かぬその手を握るテラ。
「…M−666…お前は…一番最初の命令(コマンド)を忠実に実行しようとしていたのか?ずっと…一万年間も…!」
 …もしそうだったのなら、お前は…いや、お前だけが、全てが狂ってしまったあの悪夢のような世界の中でただ一人、ひたすら己の使命を全うしようとし続けていたのだ。
「だとしたら…それを…それを、私は……!!
 『…先に裏切ったのはお前だ、M−666』
「私は……ッ!!」ギリ…と唇を噛むテラ。
 ああ…心の、なんとままならないことか…!!
 私は…そんな『心』からずっと逃げていたのだ。
『心』の弱さ、不完全さから逃れたかったのだ。
 あれは…
 …先輩が、死んでから。
 その晩年に『心』に傾倒し、男闘呼回路まで作った先輩自身が(ローズ)の嫉妬『心』に殺され…その憎しみに気付きながら、みすみす先輩を見殺しにしてしまった自分の『心』の弱さに打ちのめされてから…
 …私は心を『殺す』ことを、己に課したのだ。
 そして智美にもまた、『理性』のイデアを…!!
 だが…どうだ!?
 結局…彼女は逝ってしまった…………
 …そして……
「…M−666……いや…」
 フッ…と両目を閉じるテラ。
「…お前はもう、ずっと前から『マシーン』だったんだな…」
 智美にそう名付けられた時から、お前は『心』を欲し始めたのかもしれない。ならばお前は智美の母によって『生』を授かり、その娘から 『魂』を授かったのだ。
 たとえ人間のそれとはあり方が異なるとはいえ、『心』を欲しいと願うその想いこそ『心』に…『魂』そのものに他ならないのだ。
 マシーンは『心』を欲した。私は『心』から『論理』に逃げた。
 …自分の持っていないものを欲する、それもまた『心』の為せる技。
「…幸せか、マシーン…!『心』を…『魂』を手に入れて、それでお前は幸せになったのか!?」涙するテラ。
「こんなにも不完全で、こんなにも不安定な代物を得て…」
 テラの手の中にあるのは、もはや物言わぬただの鉄の塊であった。
「…答えろ、マシーーーーン!!!!!!

 今や続々と押し寄せる世界中の空軍が、所狭しと大王に総攻撃をかけ続ける。だが、東京大空襲をも遥かに上回る火力を一身に浴びながらそれでもやっぱり物足りない大王とザンベがそこに居た。
 しかし…その時!千波湖方面からマチを乗せた『シバきの女王』がようやく現われ、ビシッ、バシッ、と大王のことをムチ打った!
 達人がムチを空打ちするだけで大きな音が鳴るのはその先端が音速を超えているからだというが…それを全高100b以上の巨人が、土管ほども太さのあるムチを使って行なうのだ!まして扱うのはあのマチだ。達人以上の威力を持つだけでなく、その打ち所のツボも十分心得ている。 …その瞬間、今まで全く反応しなかったあえぎサンダー大王が、女王の攻撃によって初めて叫んだ!!
「ああっ!いい!!いいよお、女王さま〜〜〜〜っっ!!!!!!
『大王』の叫びはそのまま極大の衝撃波となって水戸の市街を襲い、立ち並ぶビルの群れをいとも簡単に揺り砕いた!!
「…こっ、これが…アトランティスを火の海に沈めたという巨神の威力なのか!!!?
 このままでは水戸の壊滅は免れない!
 そして…二体から噴出する怒涛の如きSMの波動が、みるみるうちに凄まじい勢いで世界を覆い尽くし始める!!
 天を裂き、地を轟かす地上最大のSMショー!
 …其はまさに神々の黄昏
 其はまさに世界の産声と断末魔…!
 それは、いわば世界を揺るがす愛の営み…
 世界を救うのが愛ならば、世界を滅ぼすのもまた愛なのだ!!


 
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