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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第109話
燃えよリーダー!ほえろ地獄の断末魔
1990年4月21日放映


 前回きっちり湖底に沈めたはずのカノンなのだが、今度は恨めしそ〜な濡れ姿で二人の後を追い始めた。
「どうする…もう俺達に打つ手はないぞ?」
 しばし腕組み、考えていたブラック(その頭の上にはカノンが…)。
「いっそ…このままにしておこう!!」 「何っ!?
「発想の転換だ。結局カノンは日本まで運ばなきゃならんわけだろ?だったらうっとおしいのを我慢してこのままにしとけば、勝手に日本までついて来てくれるじゃないか」 「なァーる」
 かくして二人は恨み骨髄の背後砲をお供に従え、国境を越えて無事中国入りを果たした。だが頼みの路銀(ルーブル)はとうに尽き果て、あげくどこぞの深山に迷い込み、空腹のあまりパンダと一緒に笹食べて下痢して死にかけ (人間は笹を消化出来ません) 、すんでのところで近隣の村人に見つかり九死に一生を得た。
「アオ、クロ、ご飯だよーっ!」
「わんわんわんっ!!」(頭上にカノン)
 村娘の明鈴の手厚い介抱ですっかり回復した二人。だが、村人達の顔は何故か冴えない。聞けば山ひとつ隔てた所に中国社会を裏で操る闇の秘密料理結社『食林寺』があり、この度そこで開催される闇料理大会の為に用意させられていたこの村でしか取れない幻の薬茸を、二人を助ける為に使い切ってしまったというのだ。
 このままではどんな報復を受けるかわからない、と怯える村民達。ブルーとブラックは一宿一飯の恩義を返そうと正義の戦いを決意した!だが会場に紛れ込もうにも、何らかの食材の持ち込みが必要だ。
「しかし、あの薬茸に匹敵するような幻の食材なんてどこにも…」
 ふと気付くと、村人達の視線がこちらに集まっている。
「え…ちょ、ちょっと…!?!?

 闇料理大会当日。食林寺の門前に辿り着いたアロハ二人は、入口で持ち込みの食材を見せるよう迫られる。珍しい食材でなければ通れぬぞ、との恫喝を尻目に献上されたのは…なんと・・・・ハイパー・・・・ハラコフ・・・カノンだった!!
「めっ、珍しい…ッ!!ていうか、そもそもこれは食べ物なのか!?
 さすがに四ツ足なら何でも食べるといわれる中国人もコレにはタジタジだ。てゆーかカノンにゃ足すらないのだが、二人は「足なんて飾りです…!偉い人にはそれがわからんのですよ!!」と豪快なロジックで押し通し、首尾よく入場に成功する。そして敷地内で係の者に食材(カノン)を渡すと、外には戻らず人目を盗んで城内に潜入した。原が料理されてしまうより前にカノンを取り戻し、ついでに敵を殲滅してしまおうという算段だ!

 だが戦国時代の古城を改装した食林寺の最奥部に辿り着くには、最強の黄金料理人( ゴールドシェフ )がそれぞれ守護を司る十二の厨房、即ち『女子十二厨房』を突破しなければならない!変身!早速辰年厨の黄金料理人が立ちはだかる!
「珍妙な格好アルな…さあ!進みたくばワタチを倒してみせるアルね!」
 よく見ればそれはムチムチ妙齢の中華美女…!医食同源を極めた故か、弾けんばかりに溢れる健康美に矢も盾もたまらずルパンダイヴ (両手足の平を合わせ、背後にトランクスを残して飛び込む高度な技だ) でバトルフィールド・インするブラック!!
「…この俺がお相手しよう…(色んな意味で)!!
 しかし手ごわい!敵は中国四千年の技法を駆使し、「中華は火力!!」と荒ぶる猛牛をも一瞬にして丸焼く轟火でブラックを襲う!
「うわああ!」 「ブ、ブラック!」
「さっ…先に行けーっ!!」 「…!?け、けど…!!
「…頼むよ…」 炎に囲まれたブラックの背中が語る。
「…必ず、後から行くからよ。ちょっとだけさ…道を、先に切り開いておいてくれ」
「…ブラック…!!
 ブラックはニヤリと笑って親指を立てると…炎の壁に飛び込み、壮絶な相打ちを遂げた!
「…っ!!ちくしょォォーーーーっ!!!!
涙を振り払って次の厨へと進むブルー!!
「お次はミーがお相手だヨ!!
今度はダイナマイツな金髪美女が立ちはだかった(って中国人じゃないのかよ)!!
「…この俺が相手だ…(色んな意味で)!!
 矢も盾もたまらずルパンダイヴで飛び込むブラック!!
「…ブ、ブラック?居たの!?」 「おうよ、居ないでか!」
 しかし手ごわい!「中華は包術!!」と天の龍すらも容易くおろす巨大な二刀包丁がブラックを襲う!!
「先に行けーっ!!!」 「…けど…!!
「…頼むよ…」 ブラックの背中。「…必ず、後から行くから…(以下略)
「ちっ…ちくしょーーっ!!」 涙を振り払って進むブルー!!
「さあ!ウチと戦うのは何処のどいつ!?」 今度はボーイッシュな(以下略)
「…俺が相手だ…!!」 矢も盾もたまらず(以下略)
「次はあたしよ!」 今度は女子高生風の(以下略)
「…ブラックいたの!?」(以下略)
「次は私が!(略) 「先に行けーっ!!!」(略)
「アタイが!(略) 「わらわが!(略)
「ちくしょーっ!!」(略)
「拙者が(略) 「ボクが(略) 「朕が(略) 「麿が(略) (略) …

◇  ◇  ◇

 ……永遠とも思える戦いを超えてやっと全ての厨を突破し、本会場に到達した時には…ブルーは既に、何をしに来たのか忘れていた。あまつさえ昨日の薬茸の副作用が今になって効きまくり、だだ漏れそうになる屁を廊下で必死に堪えて悶絶しているところを料理長に拉致られ、その底無しに溢れる可燃性ガスを調理用燃料としてコキ使われてしまった!!
「ふははは!なんと素晴らしい火力!!これこそまさに中華の(ガス)!!!
 中国四千年の歴史の前では、それが屁かどうかなど全く無問題(モーマンタイ)なのだ!
 あられもなく会場中央に吊るされたブルーの尻から出でて轟々と燃え盛る大炎に照らされ、がぜん興をかき立てられた至高のメニュー大帝(略して至高帝)がベロリと舌なめずりをする。
「ふっ…ワシを唸らせるような果たしてこの世に珍味があるかな!?
 そして…今!業炎の前に神輿に担がれて・・・カノンがやって来た!!
「こっ…これは!!??…さ、さすがに世界の珍味を食い尽くしたワシもコレはいまだに食った事がない…ッ!!!!
 至高帝にせかされて早速火あぶりにされるカノン!
「ギャアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
 およそこの世のものとは思えぬ凄絶な反響悲鳴がカノンの中から迸り、砲の内側をガリガリと引っ掻き回す音が会場に響き渡る!あまりの光景に目をそらすも、全身を縛られ耳を塞ぐ事すらかなわぬブルー。…やがて聴く者を腹の底から絞り上げるような断末魔が切れ切れになる頃には、砲口の隙間からよくダシの出た煮汁が吹きこぼれ、なんともいえぬいい匂いが会場にたちこめはじめた!!
「なっ…なんか美味そうな匂いしてるーーーーーーーーーーーッッッ!!??
 やがて禁断の香りと不完全燃焼したブルーのガスが会場中に充満し、全員ラリっていつしか会場は巨大サバトの祭場と化した!!完全にイッちゃった目の集団がコケつまろびつ大合唱!!!踊り狂うわ脱ぎまくるわ、蠢く業火にバシバシ照らし出されて、地上に阿鼻叫喚地獄が現出した!!!!(踊る影群の中には何故か淫法を繰り出しまくるブラックの勇姿が…)
 そして…遂にカノンのTNT火薬に屁業火が引火し大爆発!!!!!!
 …食林寺は、文字通り地上から消滅した…。

P.S. 気付いた時には、二人は東シナ海に浮かんでいたとのこと(カノンも)。


 
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