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ALOHAMAN IN ETERNAL SUMMER
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第114話
無残!原の咆哮
1990年5月26日放映


 魚光を飛び出した原はその後、近くの公園で一夜を明かし、あてもなく一人ブランコでたそがれていた。…今は職を無くしたお父さん達の気持ちが痛いほど分かる。
 …今まで『オレは正義の味方だ』と固く信じていたのに…!
 それを、それだけを心の支えにしてきたのに!!
 …たった一つの誇りを胸に、あんな仕打ちやこんな仕打ちもみんなギャグを言いながら耐えてきて…なのに…なのに…!!

 今、マグワイヤーは(いつものように)究極的財政難に追い詰められていた。そのひもじさと切なさがつのって、この程完成した『物質転送装置』…彼らはこれをを早速応用し、資産を増やそうと企んだ。
 この転送機はまず入力側でオリジナルが原子レベルで分解・解析され、そのデータを元に出力側で再構成するという仕組みだ。そして三悪は残金をはたいて27個のユニットを作り、とっておきの千円札をこれに投入する計画( プラン )をうち立てた。1個を入力に、残り26個を全て出力側にするのだ。
 準備は整った。…深呼吸した後、しめやかに投入!三悪が血眼で見守る中、千円札が端からじわじわと分解されてゆく。
「…これで我々も金持ちに…!!」計算では、これを繰り返してゆけば二十七日間で国家予算級の金が手に入る予定である(全部同ナンバー)。
 …だが落し穴は思わぬ所にあった。26も欲張った罰であろうか…よりにもよってオリジナルが消滅しきった直後にブレーカーが落ちてしまったのだ!声にもならぬ悲鳴をあげる三悪。「そっ…そんなバカなー!!
 慌ててブレーカーを戻しても、もう何も出てこない。
 取りつかれた様に次々と物を放りこむハッシーとソーヤ。アレもコレも片っ端から消えていく中で、ドサクサに紛れてぶちこんだモリッターがすんなり成功(しかもオリジナルはそのまんま)!見事27体に増えてしまった。「ぎゃー!?
 その時のソーヤとハッシーの驚きは言うまでもないが、更に二人が 「モ…モリッター!?」と思わず口に出した時、27体のモリッターが一斉にぐりん、と(無表情のまま)振り向いた時の恐怖といったら、とても言葉で表わせるものではなかった。即刻部屋の外に叩き出されるモリッター軍団!

「原ー!」「リーダー!」
 夕暮の中、いまだ帰らぬ仲間を必死に探して回るブルーとブラック。
 …片や行くあてもなくトボトボと重い足取りのモリッター。
 両者は土手添いの道でバッタリと顔を合わせる。そして…

 とっぷりと日も暮れた頃、原は今日一日ひとしきりいじけただけで恥も外聞もなく魚光に戻ってきた。
 …よく考えてみたら、今までと別に何が変わったわけでもない。第一、自分がいなければアロハマンは戦えないのだ。
(…そうさ…ブルーもブラックも、最後はいつだったオレに頼ってきたんじゃないか…!)
 …きっとあいつらも、今頃後悔している筈さ…!
 先程までとは打って変わって、少し誇らしい気分にさえなっている原。
「…けど帰って来いと言われてすぐ帰っちゃったらオレの株が下がるし
…ちょっとはスネてやろうかナ?」
 原が胸弾ませて部屋を覗いてみると、…アゴとモヒカン(?)がマスクからはみ出し、颯爽とマントをなびかせる・・・レッドがそこにいた。
三人「真・常夏戦隊アロハマン!!
 そう…原が置いてったブレスでモリッターが変身していたのだ!
「…割としっくりくるな」
「なんかすっごくゴージャスにパワーアップした感じだぞ?」
 その光景を目の当たりにした原は、声にならない絶叫(超音波?)をあげながらまたも夜の水戸を疾走した!
(…裏切り者〜ッ!信じてたのに…例えメンバーじゃなくても仲間だと思ってたのに!…そんな…そんな甘い夢を見ていた俺のバカ!バカバカ!!) …原は泣きながら走り去り、今度こそ二度と戻って来る事はなかった…


 
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